kmn.5  山中音和「ロリータの詩集」

花とゆめコミックス  全3巻
白泉社文庫  全2巻

何か有りそうな感じ、というのを何の知識も無いままに感じ取ることってよくあると思う。

情報収集を趣味としているわたしですが、漫画に限って言っても勿論名前すら知らない漫画はたくさんあって、本屋などでそういう本に突然出会って買う

ことにする(なる)時って、この「(自分にとって)何か有りそうな感じ」というのを感じてしまった時だ。前もって漫画の紹介文等を読んでいて、それを買いに

本屋へ行くのとは違い、何かを手がかりに見つけなければならない。大抵タイトルと表紙の絵(中身が見れない場合)で判断すると思う。

ところが、最近の漫画家と言うのは、とても絵が上手い人というのが沢山居るのだ。というより、何か有りそうな絵を描く人が沢山居るのだ。(漫画の)絵が

上手い漫画家は今も昔も沢山いると思うが、最近は本当に何度も言うけど、何か有りそうな絵を描く人がたくさん居るのだ。だから、絵だけで判断すると

痛い目にあう事が増えてきた。また、タイトルについても、同じことが言える。最近の漫画家は、何か有りそうなとこを突くのが上手いと思う。よく分かってる

感じがする。わたしの勝手な想像だけど。だから、タイトルでも痛い目見ることはよくある。じゃあどうしたらいいのさ!もう後は運に任せるしかない。

今の漫画道は、わたしの分析によると、そんな感じだ。信憑性は薄いけれども。だからこそ、情報収集は大切だと思うのだ。以上。

そんで、このロリータの詩集は、何の知識も無いままに、タイトルと表紙のみでの判断で買ったのだけれど、これは当たりだった。めでたい。



 ストーリー
  過去の出来事が原因で、言葉に強いコンプレックスを持つ、橘斎(たちばな・ゆい)。斎が、ある少年との

  出会いと別れにより、「詩」を残そうと決意し、徐々に言葉を取り戻して行く。




一話完結を16話繋げた作品。「ロリータの詩集」なので、1話ごとの最初か最後に、斎による「詩」がある。雰囲気はLaLaっぽいけれど、掲載は花とゆめ。


わたしは斎のような女が(見た目も含めて)大好きで、この漫画全体も大好きなわけだけど、決してこのポエムに共感しているわけでは無いことを

最初に言っておく。そもそも、すげえ昔の詩(文体が古いことが条件)なら、日本のものでも外国のものでも好きだ。内容と言うより言葉の響きが

面白いので、妄想を膨らませるために読むのだけれど、近代の詩は、どうにも恥ずかしくて読めない。歌の詞でさえ、妙に気持ちがこもってる

タイプのは恥ずかしくてダメなくらい。わたしが恥ずかしくなる理由も義理も無いのだけれど。だから、ここに出てくる詩も同じです。恥ずかしい。

ただ、それ以外の台詞とかの言葉は、山中さんは上手いと思う。世界観を作るのが上手い。前述の通り、絵も綺麗だし。


全部で16話ある中で、私が好きなのは(最初と最後を除いて)Poem.3−雪−、Poem.7−夕立−、Poem.8−ゴースト−、Poem.13−誘惑−、辺り。

ちょっとしたやり取りがおもしろい。


全体を通して冷めた感じの漫画なので、あんまりわたしがいろいろ書くとつまんなくなると思うのでやめますが、ぜひ読んで欲しい。もっと知られてよい

漫画家だと思う。この人の他のも、ちょっと変わった感じ(行き過ぎてないから良い)でおもしろい。「WANDER LAND」の方が知られているようですが

(わたしの感覚調べによる)、それ以外の方がずっとおもしろいとわたしは思う。ワンダーランドはわたしの好きなところより行き過ぎているのだ。




  主な登場人物関係図