kmn.2  槇村さとる「愛のアランフェス」 

マーガレットコミックス  全7巻
集英社ガールズコミックス  全3巻
集英社文庫  全4巻


わたしは別の項にもあるように、バレエとか体操・新体操・フィギュアスケートの類が大好きだ。勿論漫画も大好きとあれば、バレエ漫画や芸術スポーツ漫画を

読まないではいられないのだ。しかし、「愛のアランフェス」を買ったきっかけは、これも又別項にある、音楽好きからきている。本屋に通うのもわたしの趣味(習性

に近い)のひとつだが、本屋で漫画コーナーを眺めていたときに「アランフェス」という言葉にわたしの興味センサーが反応した。このタイトルにある「アランフェス」

とは、スペインの地名であり、そのアランフェスの情景を表した、ギターが主役の「アランフェス協奏曲」の事でもある訳だけど、わたしは「アランフェス協奏曲が

好きで、よく聴いていた。で、手にとって表紙を見てみたら(文庫版)どうやらスケート物らしかったので即買ったのです。



しかし本屋ほど日常生活の中でわたしの心を躍らす場所は無い。反面、凄く切なく虚しい場所でもある。何故ならわたしは金持ちではないので、そうそう本ばかり

気分に任せて買う訳にはいかないから。自分に「我慢しなさい」と言い聞かせるのはとても辛い。辛くてつい、本屋で涙する(本当に)こともたまにある。だから迂闊に

本屋に近づかない様にしているのだけどね。心の整理がついている時にだけ、自分から本屋に行く許しが出る。新宿でうっかりふらふらと紀伊国屋書店になんか

入ってしまったら、帰りの電車でも家についてからも、この世の終わりみたいな気分を引きずるハメになる。怖い!わたし金持ちになったら本屋を買い占めようと思う。


ストーリー
  森山亜季実は、北海道で元フィギュアスケートの選手だった父からスケートを教わっていたが、ある日東京で

  行われたスケートの大会に飛び入りで参加し、その才能で人々を驚かせる。それをきっかけに東京に引っ越し

  てきて、シルバーリンク・スケートクラブに入会した亜季実は、そこで黒川貢という活動休止中のスケーターに

  出会う。亜季実の演技に惹かれた黒川は復帰し、亜季実とペアを組むことになる。しかし次第にスケートのペア

  として以外でも惹かれあっていく内に、スケートペアとしての関係がうまく行かなくなる。



Kmn.1「アラベスク」でもこの「愛のアランフェス」でも、ペアとしての二人の関係とお互いの成長(アラベスクではノンナだけかな)が描かれているけど、わたしは

「パートナー」という関係に凄く憧れを持っている。恋人っていうんでもなくて(結局どっちもくっつくけど)バレエなりスケートなりでの「パートナー」という部分に何か

妄想をかき立てる要素を感じる。そういう2人の関係に凄く興味がある。男女のペアでなくても良い。たとえば「ホームズとワトスン」とか、パートナーとはちょっと違う

けど、「双子」ってのも興味ある。知り合いに2組いるのだけど、観察してると2人の関係が凄く面白い。双子ってどんな気分なんだろうなー。

こういうような話を友人Mにしたら「あー、姫子とポコ太とかねー。(水沢めぐみ「姫ちゃんのリボン」より)」と納得していた。まあ、それも入れても良い。

姫ちゃんとポコ太は置いとくとして、ペアとして2人で組んでより上を目指すんであれば、やっぱり馴れ合ってる暇はないですね。その相手と組んでいたいと思ったら

自分は相手より上に行って、相手に自分(わたし)と組んでいたいと思ってもらえなきゃ駄目で。厳しい世界です。わたしは、ダンスをやっていても2人だけで踊るとい

うことは余り無くて、ソロか2人以上が多いし、特定の人とだけ踊る訳じゃないけど、やっぱり人と踊るときは、その相手に負けたくないと思う。勿論、2人なり3人で一つ

の作品を表現するのだから、息を合わせて調和を取ることも同時にしなきゃいけないから、ライバル心むき出しにするわけにはいかない。でも絶対負けたくないし。

と言うように、人と何かをするって難しいことだな、と思います。人間って何にでも割りとすぐ慣れるし、わたしなんが特に怠け者だから楽しくて心地よい処には留まって

いたいと思うし、でもそれを振り切って上を目指す姿勢にワクワクする。わたしも怠け心を振り切って上を目指すことにします。


スケートの話に戻ります。日本にも早く、世界に通用するペア(二人とも日本人で)が出ないかな〜。でもやっぱ難しいんでしょうね。「愛のアランフェス」が描かれた

当時も今も、視聴者レベルで見てる範囲では状況は同じ感じですね。ジャンプは、女子でも4回転に成功か!なんてとこまで来てるのに。きっと少しずつ出てきてる

んでしょうけどね。

それから、わたしの希望としては、日本の選手にはもっと踊って欲しい。もっと動けということではなくて音楽に合わせて動く意味というか楽しさ(楽しい曲って意味じゃ

無くて)みたいのを出し切れてない気がする。本当に楽しくないのかもしれないけどさー。わたしはフィギュアスケートをやったことが無いからこんな意見おこがましい

けどね。体操や新体操の選手も、競技を全く抜きにして1曲まるまる純粋にダンスを踊る訓練をしたらどうかと思うのだ。バレエでもジャズダンスでも何でもいいから。

バレエの基本だけ習うのではなくて、踊る快感を味わうべきだと思うさ。演技を見てると、時々ぬかりがある気がしてならない。演技してないというか踊ってない部分が

あるようにわたしには見える(人が多い)。じゃあ、お前がやってみろ!と言われてもわたしは出来ないのだけど、そこが改善されたらもっと上を目指せるし、みんなに

愛される選手になれるのではないかな、と思います。安藤美姫選手の演技は好きです。浅田真央選手も好きです。二人とも「スケート大好き」という感じの演技をする

からです。話は飛ぶが、男子シングルの本田選手は、ソルトレイクオリンピックのフリーの演技のときに、アランフェス協奏曲の第2楽章を使ってましたね。あの演技は

なかなか好きです。


それにしても、こういう漫画の登場人物は美しくて羨ましい。バレエでも何の漫画でも、作者がうまければ、難しいポーズだって技だって綺麗だし、脚は細くて長いし、

後に花や星を散らしたりして。わたしたち現実のダンサーは、自分の力で観客に幻想を見せなきゃいけない。大変なことです。



「愛のアランフェス」で使われる実在の曲
使用曲 使用者 状況
チゴイネルワイゼン 亜季実・シングル 日・ソ対抗フィギアスケート大会エキシビジョンに飛び入りして滑った
亜季実・シングル 8級試験のフリーの演技で。
亜季実・シングル クーデンホーフ大会エキシビジョンで。
アランフェス協奏曲 黒川・シングル 復帰する前に、滑って見せてと言われて、クラブのリンクで。
亜季実・シングル 練習中に↑の黒川の演技を真似てみせる。
黒川・シングル 選抜大会のフリーの演技で。
亜季実・シングル 同上。本当はチゴイネルワイゼンをすべる予定だったが、
亜季実が勝手に変更して滑った。
イリーナ、ミハイル組・ペア 亜季実・黒川ペアを刺激するために、嵯峨島が、自分の生徒の
イリーナ・ミハイルペアに滑らせた。
ロータリーカップのフリーで。
黒川・シングル ロンドンの大会のエキシビジョンに飛び入りで参加して滑った。
亜季実・シングル 東日本フリー大会、フリーの演技で。↑のロンドンの黒川と同時に滑った。
亜季実・黒川組・ペア クーデンホーフ大会エキビジョンで。亜季実ソロのチゴイネルワイゼンの後に
黒川が出てきて2人で滑った。
ラ・カンパネラ 貝谷、筒美組・ペア アメリカ留学での成果を、練習中に披露した。
ロッキーのテーマ 筒美・シングル 選抜大会のショートプログラムで。
魔の山 黒川・シングル
カルメン組曲 亜季実、黒川組・ペア エキシビジョン大会で。初のペア演技。
おもちゃのシンフォニー 一樹、諸口組・ペア エキシビジョン大会で。




 「愛のアランフェス」人物関係図