* 鶏肉倶楽部 * マー様にささぐ * MEQUE MEQUE * コーヒー砂糖いり恋する窓辺 * 海のパイパイ
* おたく2000 * ミドリ色のすべすべした美しい身体 * おまけ
の、8つの短編が入った本。
エロい、グロい漫画と言えると思うが、他の本当にエログロい漫画に比べたら、そんなでも(作品のレベルでなくてね)ないから、不快にならずに読める。
が、感じ方は人それぞれだと思うので・・
でも、わたしとしては、中村さんはエロいシーンを使わず(若しくは今より抑えて)描いてくれたら、凄くわたしのストライクゾーンど真ん中でいいのに、
とは思います。何しろ、絵が美しい。
萩尾望都の「ビアンカ」のところで、「花の24年組の人たちの絵が素晴らしい」と書いたが、それとは全然違った意味での美しさだ。
絵の世界観も美しいんだけれど、それよりなにより、わたしの愛してやまない「様式美」というものの凄さがある。
極端に曲線的で、アールヌーヴォー調(*1)というか、クリムト(*2)やビアズリー(*3)が好きそうだ、と推測したくなるような絵柄だ。実際、「マー
様にささぐ」33ページには、クリムトの「接吻」をモチーフにした絵があるから、やっぱ好きなんだろう。読んでいて絵にうっとりしてしまう。ストーリーは
置いといても浸れる漫画。わたしもさらさらと、こういう絵が描けたらなあ。
*1 アールヌーヴォー・・・ 19世紀にドイツ、フランスなどヨーロッパで流行した美術様式。主には、装飾美術を指すのだが、広い意味では
絵画や工芸や建築なども含まれる。有機的な曲線を多用するのが特徴。
アールヌーヴォーは当時ヨーロッパで流行していた日本美術・ジャポニスムの影響を受けているといわれる。
代表的なのは、エミール・ガレ(ガラス工芸)、アルフォンス・ミュシャ(絵画、ポスター、デザイン)、
オーブリー・ビアズリー(画家)、グスタフ・クリムト(画家)、オスカー・ココシュカ(画家)、アントニオ・ガウディ(建築家)など。
Art Nouveau はフランス語で、「新しい芸術」という意味。
*2 グスタフ・クリムト・・・Gustav Klimt, 1862年7月14日 - 1918年2月6日
オーストリアの画家。美しい官能感と、死と隣り合わせのような緊迫感のようなものが同時に込められたようなテーマの
絵が多い。黄金時代の作品には、金箔が多く使われ、神々しい神話の世界のような感じでもある。アールヌーヴォーの
作家らしく、日本の琳派の影響を感じさせる作風である。代表作は、「ベートーヴェン・フリーズ」や「接吻」など。
わたしはメジャーなところではベートーヴェンフリーズと、ダナエが好きです。
*3 オーブリー・ビアズリー・・・Aubrey Vincent Beardsley, 1872年8月21日 - 1898年3月16日
イギリスの画家。官能的な作風。アールヌーヴォーの代表的な画家。
オスカー・ワイルドの「サロメ」の挿絵が有名。
わたしの大好きな画家の一人。
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